先日(2023年6月24日~26日)、自作のえっちな本を鬻ぎに上京していた。
上京の際には必ず1軒、酒と飯合わせて13,000円~25,000円くらいのレンジの価格帯の店へ訪問している。今回は地元の札幌で世話になっている日本酒バーのママが昔一緒に働いたことがある方で、お食事が美味しいシェフが独立されてやっている店をおすすめしてもらったのでそちらへお邪魔してきた。
とてもコスパが良く日本酒も幅広く取り揃えており、かなり推せるなと思ったのでログをしたためておくがやっぱり後半の記憶が怪しい。
■お店について
お邪魔したのはこちら。
場所は宝町駅至近。私が蔵前に宿をとっていたので、浅草線ですぐ行けたのもありがたい。アラカルトはないのかな お食事コースにお酒8杯がついて税込12,000円ってこの感じのお店だと若干不安になるくらいやっすいなと思いながら予約。
写真を撮り忘れたが店の看板とか出てないので、一緒に行ってもらったお友達から「住所は合っているが入口がわからない」と連絡をもらって焦って行ったらほんとにどこが扉でどこが開くのかよくわからなかった。おしゃれだ。
■1品目:金目鯛の押し寿司
普通に旨い(ボキャ貧)。最初に飯食えるの助かるという気持ちの方が大きかったかもしれない。
最初のお酒はこれ。
山口は下関にある長州酒造の「天美」。蔵自体が新しく、3年目のつくりかな??かなり造りが手馴れてきているなという印象で2年目とかに感じた変な調整もなく、トレンドに沿ったクリーンで穏やかに愛らしい甘さのある全方位外交酒って感じになってた。
■2品目:糸瓜の担々麵風
糸瓜って食べたことないんだけど湯がくとそうめん状に繊維がほどけるかぼちゃの仲間なんだって!またひとつ新しいことを知れた✌それを担々麵風の冷静胡麻スープでいただくやつ。
ペアリングとまでは謳っていらっしゃらないが実質ペアのコースで、合わせるのは日本酒、結構味の乗ったものも多いことから、酒が進むように敢えて少し濃いめで調味しているのが良くわかる。ご本人のスタンスがどっちかは知らんけど、「料理を主眼にそれを支えるために酒を出す」というよりかは、「料理と酒、どちらも美味しいバランスをとる」という方向性のお店なのでしょうか。
福島の仁井田本家「にいだしぜんしゅ おだやか」。全量生酛仕込みでしぜんしゅブランドの方はかなり飲み口の乳酸感が強いイメージがあったのですが、これはかなりその部分が抑えめでかつ生酛らしい骨太の造りの余韻も感じられる、ハイブリッドモダンな感じがありました。これなら私も飲める(乳酸強い酒は飲めるけど嫌いなので普段飲まない)
胡麻とみその風味の強い椀だとこのくらい乳酸感があっても気にならないし、どっしりしていてちゃんと胡麻のクリーミーさの後味をきれいに切ってくれるし、良いチョイスだと思いました。
ちなみに一緒に行ってくださったお友達はお料理+お酒1杯で7,500円(税込)のコースを選択して、お酒はそのあと飲める分追加してこうね、というやり方でオーダーをしています。またふたりの好みをそれぞれ聞いてもらって、2杯目以降は別々のお酒をだしてもらっています。
■3品目:葉もののサラダ
なんかもっといい感じの名前で出てきた気がするんですがサラダという理解しか頭に残っていない🙃ドレッシング的なものの酸味とチーズの旨味のバランスが良く、これもおさけほいほいだな~~~と思いながら先ほどのおだやかの残りを飲んでいた気がする
前述の通り乳酸感のあるお酒が得意ではないので、乳酸感のあるものと合わせて食べて食べ物の香気に寄せられると美味しく食べられる 助かる
お酒はこちら、福島の大和川酒造店「彌右衛門」の酒販店さん特注商品。細かいところはこちらを参照するとわかりやすい。
わたしはあまりスペック見て酒を判断しないのですが、さすがに日本酒度-19度というのはわかりやすい指針になる(めちゃくちゃ糖類が酒の中に残っているので、まあ「甘い」はずというアタリがつけられる)。酸度5.0も結構平均値をぶっちぎってる数値なので(高いと「濃くてしっかり」低いと「キレがある」という通説)、甘くて濃いんだろうなと予測のつく酒ですがこの日はもちろん何も見ないでそのまま飲みました。
いろいろ特筆すべきところがあるのですが、味だけの評価だとファーストアタックは「ブルーベリーソースを乗せたチーズケーキ」のような鮮烈さ。その後口内に残る余韻も軽快ですが、酒の旨みもきっちり出ていてよかったです。
写真の時間見るとしばらくこれと野菜食ってたっぽいな サラダにこの酸味のある酒の差配は前の酒同様私の好みに合致しているのでありありのあり
■4品目:ごまかんぱち
福岡名物なのか?ごまさばのかんぱちバージョン。脂の乗り方が丁度良くて、すこし甘めの味付けにさわやかな薬味の香りで無限にたべられそうだったヤバい(翌日も似たような食べ物を見つけて蛮族のように食べた)
お酒はこれ
愛媛の首藤酒造「寿喜心」。この辺から記憶が怪しいが特に感想がなかったということは穏やかでまとまった出来のいいうすにごりだったんだと思う これお米ニコマル(飯米)なんだね 最近は飯米もほんとに上手に造れるところが増えてすごいな~と思っています
■5品目:お刺身
平目となんかのお刺身🙃なんかのこと 全然思い出せないけど 知らないおさかなだったの🙃
お酒は長野県宮坂醸造の「MIYASAKA」。日本酒つくるのに添加する酵母菌の「7号酵母」発祥蔵とされています。数年前に7号酵母回帰を掲げて造りを調整していてから途中あれ…となって飲んでなかったんですが、シャープで穏やかでまあ冷えてたし特にいちゃもんつけるようなところもなく良い食中酒だったと思います。
■6品目:あんきも
あん肝ってあんこうの肝なんですよ(わかる) これほんまふわふわして甘くて大好きなんですが、血抜きなどの処理ちゃんとできないところの食べると生臭くて吐きそうになるので食う店を選ぶ食べ物だなと思います。
蒸し方が天才ではしでつまもうとするとぷるほろっと解けてしまうような丁寧な低温の熱入れで、平素あん肝をいただくことも多いのですが過去イチレベルで美味しかったです。あと多分したになすびがいたはず 確か 煮びたし奴 酒がすっとぶわこんなん
これも酒販店さんの特注のやつだった。ほんとにバランスよくメリハリが聞いてて、コース後半の少し鼻と舌が鈍ってきてるときに丁度良いボリューム感があったので助かる
植木屋別注!会津中将純米吟醸夢の香生原酒(1.8L) | 植木屋商店
■7品目:鮎の一夜干し
なんか色々聞いたのにさっぱり覚えてなくて本当にすみません 本当に一夜干しで、昨日お店にやってきた鮎ですという話を聞いたような気がしないでもない 半生くらいのしっとりした干され方で食感はやわらかく、でも干されているので味が凝縮しているから噛めば噛むほど鮎の旨味が楽しめる「めっちゃ高クオリティな酒のアテ」だった これ毎晩食いてえ
これか?多分これだ
もう発泡感はかなり抜けていたと思う 低アルの酒って数年前からトレンドで、下手なところが造ると露骨に発酵が足りない味がしたり不快な味香りが出がちなんだけど全く問題なかった。あと鮎と一緒に食べてるので腹のところのさわやかな苦みえぐみとかでわかんなくなってんのかもしれない
■8品目:茶碗蒸し
餡の説明をめちゃくちゃしてもらったような記憶があるのにまたそれも覚えてない 本当にごめんなさい 豚さん 豚さんの話をしたようなしていないような 本当にごめんなさい 美味しいことだけ覚えています
これの前と後に2つ酒を飲んでるログがある
雅楽代は2018年に色々あって業界初参入の若いオーナーが前の蔵を買い上げて新しく造りをはじめた佐渡の酒蔵。ここも色々味の調整をしてたなと思いますが、初期に比べてかなり食中酒寄りに酒質を調整してきた感じがありました。最初に飲んだ天美もそうですが、誰にも嫌われない、蔵の顔になれるお酒の味の方向性は穏やかで上品なものに転んできてるよな~
知らなかったやつは滋賀の「唯々」だった あんまりこっちで置く店ないんだよね これもめちゃ甘酸~って感じの子でしたわよ
■9品目(おすそわけ):くそでかにんにくのペペロンチーノ
マスターが隣のお客さんに今日こんなにんにく仕入れちゃってと良いながら両手に乗せてもはみ出るくらいのデカさのくそでかにんにくを見せると、見せられた客がどうしてもそれでペペロンチーノを食べたいのでパスタ買ってきますね!と途中お買い物に出て作ってもらったものがおすそ分けされたやつ。
美味しかったしマジでニンニクがでかくて笑った 以下ジャンボにんにく参考
■10品目:豚だったはず
柚子胡椒つけて食うと肉の甘みが際立ってうまかったな~~という記憶だけあるのと、となりについてるのが黄身の漬けだったはずでこれだけで無限に酒が飲めるなと思ったはず
会津娘はいいぞ(普段飲むのでログを残す気があまりない)
■11品目:土鍋炊き込みご飯
最後に土鍋ご飯がもりもりに出てきてビビった ここの炊き込みご飯、山椒が入っていてそのアクセントが最高に良かった~~~~ラストだからこのくらいピリッとしてると舌が少しまともに戻って米とかコーンの美味しさをちゃんと捕捉できるわね
めちゃくちゃ炊いてもらったけど食べれなかったのでおむすびにして持たせてくれた うふふ ありがとう
■まとめ
・7品のコースだった気がしたけどなんかめっちゃたくさん出た
・お酒は1杯50~60ccかな?500cc程度(2合半)くらい飲めるので、日本酒をあまり飲まない人はコースに1杯ついてるやつで慣らしながらのむべし
・時間はめちゃくちゃかけてもらって多分3時間半くらい居た
いずれにしてもこのクオリティでこのコスト感でお食事できる場所が東京にあると思わなかったのですごく驚きました。名店だと思います。
個室も一つあるにはあるみたいですが、基本マスターおひとりで店に立たれているのでカウンターOKで少し落ち着いて美味しいものとお酒をゆっくり、というのが良い方にはお勧めします。