わたしはなかった気がする。というかあったらもっとフグに執着していた可能性がある。フグに人生を狂わされたかもしれない。
今回大阪旅行である程度コスト感のある地域ならではのものを1つ食べたいとなったときに、選んだのがフグだった。
あまりフグを食べない地域に住んでいるため、いいフグ屋などもおそらくほとんどない。これまででまともにフグを食べたのはおそらく2回。そのくらい馴染みの薄い食材だ。
ひとりで旅行先で飯を食うことも多いわたしだが、たまたま複数人での会食ということもあり鍋はさぁ!多人数分一気に作った方が美味いしさあ!という気持ちでふぐ屋を探した。
◾️てっちり ほてい

道頓堀に近い法善寺横丁にあるお店。周りの店も行きたくなる好みの面構えで大変良い。また来たいエリア。
この店を選んだ決め手は一年中天然トラフグを扱っているということとその価格。最近値上げをしたらしいが、以下内容で税込9,680円。チャージや席料などもなしという恐ろしいほど破格のコスト感ながらに口コミなどで見る写真に妥協感などなかったことと、ひれ酒用のひれを干している写真に完全にやられた。
予約のお電話を入れた時も店主のおじさんがすごく優しい声で対応くださったのも印象的でした。
・着席
予約時間に席に案内されるとすでに鍋が真ん中に鎮座。張ってあるのは水出しの昆布出汁。もうテンション爆上がり。
最初に飲み物を聞かれまずは瓶ビールで乾杯。黒ラベルだったんだよねえっ西の地で?珍しくてびっくりした
あとまだ10月だからないかなと思ってたけど白子も聞いたら合ったからそれは追加でオーダー。
・湯引き

すぐに出てきてこれでスタート。
皮だということしか知らないので調べた。ふぐコースの湯引きはふぐの外皮を処理して湯に潜らせたもの。外皮は想像通りのあのトゲトゲがあるので、そこを綺麗に引く(取り除く)作業が必要でそれに技術がいるとのこと。
これがまあ美味い。外の方の皮目はしっかり歯触りがあるがすぐに噛み切れる。中側の半透明の部分はさらに歯切れ良く、気持ちの良いプリプリコリコリ感。内側の白い皮の部分も変に引っかかったりせずに三位一体で噛み切れる。
そしてなによりビビったのがポン酢。
柑橘と醤油に、かなりしっかりした出汁の旨みが感じられる仕立てで、しっかり寝かせているのか味がまとまっていて本当に美味しい!柑橘の酸がとげとげしくはない、でもしっかりとキレのある酸味は活きていて、どれかの味が突出することなくまとまっているのがとても印象的。
多くのフグ料理店が自家製ポン酢を用意しているのはこれが「うちのフグ」を語る時の顔になるくらい重要な伴走者だからなんだな
閑話休題。
綺麗に処理されて細長く切られた皮に、くだんのポン酢と小葱、紅葉おろしがオン。これをちまちまつまみながら合いはしないがビールでキュッと喉と胃袋の用意をしているうちにすぐ次の料理がくる。
・てっさ(夢中すぎて食べかけ)

熟練の捌き手によりうっす〜〜く切られでけえなんちゃら焼きのさらに丸く綺麗に盛られてわ〜模様が透けてる!のイメージが強い身の刺身だが、ここのは敢えてかなり厚めに引いているとのこと。
端の方のやや薄めの小さいやつはそのまま薬味を乗せてポン酢で、大きいものは昆布出汁を沸かした鍋で軽くしゃぶしゃぶして食べてみて、とお運びをしてくれているおじいちゃんに説明を受ける。
フグが薄造りにされるのはその身が非常に弾力があり噛み切りにくいから、というのをなんとなく体感した記憶があるため最初はええ……?と思っていたが、一枚刺身で食べてみると確かに弾力はあるものの筋肉の質がすごくしなやかなので歯をしっかり受け止めてくれる 噛むとめちゃくちゃしっかり「ふぐの味」がして、美味すぎてまた噛む そのうちかなり柔らかくなるのでそれを飲み込む みたいな感じで噛めば噛むほど本当に美味しい 刺身は小さめのが良いというのは飲み込みやすいからなんだと理解
ポン酢は本当に少しだけつけて、フグの身の「味」を堪能するのにうってつけ
しゃぶしゃぶの方は3往復程度でさっと上げてこれもポン酢と薬味で こちらは打って変わってぶりっぶりの力強い筋肉を堪能できる食感に変化 熱で変性した部分がひび割れてポン酢が絡みやすくなるので、ポン酢との相性が爆上がり
わたしはマジでこの「フグの味」が理解できたことに感動したのでほぼ刺身で食ってしまったわよね
これまで食べたフグも全然なんだこのうめー食い物とは思いはしたんだけど、養殖で肉の味が薄かったんだと思うんだよな あまりフグの味のイメージが記憶になくて それでまあなんかチョト良いもん食いたいねみたいな時には選択肢に上がらないわけ でもこの天然トラフグ食ったらもう話が違うじゃんってなったわけ 早く教えてよそういう大事なこと
・ひれ酒

訳あってこの一週間睡眠時間もカスだし酒もほぼ飲めてなくてさぁ これを浴びるほど飲むのを生きるモチベにしててさぁ
お店で干したヒレをめちゃたくさん入れてくれる こんな入って660円で良いんですか???
お酒は相当チンカチンカの熱燗で、アルコールやや飛んでるくらい上げてるとのこと たまんねえな 銘柄など見てないけど白鹿とか白鶴あたりの上撰〜本醸造クラスかな 灘近いし菊正宗とかもあるか?
ヒレは干したものをお店でしっかり焦げ目が付くまで焼いてるっぽい この焦げがアルコールをかぶると香ばし〜〜〜く薫って、一緒にフグの美味しい匂いもやってくる 一生嗅げる ひれ酒のサシェくれ 最初のひとくち アチアチはアルコールが上がってきてキレッキレ フグの旨みが溶け出る まだ注いだばかりなので、味がまとまらずとっ散らかってんのもまたいい ここから「育つ」過程を楽しめるので……
数分置くと色も濃くなり温度が落ち着いてアル添独特のクリーミーな風味が出てくる わたしら温めた酒はかなり上がったやつの燗冷ましが一番好きなのでマジで嬉しい 旨みも濃く、全体にまとまりが出てくる うまいうまい うまいよ〜
最後温くなってくると出汁割に近いくらい味が出る うますぎ ちなみに店の触れ込みでは同じヒレを使って4〜5杯はおかわりできるとのこと おかわりの酒は440円で良いのでマジで激アツ案件すぎる ちなみに我々は3杯いただきましたが、わりと時間をかけて飲んでいたので3杯目の段階で結構出汁が出きっていたのでまだ飲めるがここで打ち止めでいいかな〜という判断でした
いつも思うんですがあまり身の回りに日本酒だけでなくアルコールをがっちり飲める友人がいないので、のっぴきならない事情で会える友人たちがバコバコ日本酒一緒に呑んでくれるのマジで嬉しい ほんとに嬉しい
・てっちり(煮る前の姿 夢中すぎてできたやつの写真はない)

ふぐ鍋 楽しみにしてたやつ おじいちゃんが全部作ってくれるってやってくれてえ〜いいの!となった そんなにお金払わないのに……
鍋の昆布出汁がマジで競馬場のペグシルのように無限に追加されるのがアツい
びっくりしたのは煮込みの時間 フグ入れて25分くらい煮てた気がする そんなに煮てもう身味しないのでは?と思いながら食べたら
昇
天
あの筋肉質の身がふわっっっっっふわでほどけるような食感に変わってる!!!!!オア?!しかもあじがめっっっちゃ濃い!!!!!なんで?どれだけ味出るんこの魚??????
骨もぶつで一緒についてるんだけど、ふわふわになったフグは身離れがよくて食べるの全く苦労しない なに?????これ
鍋用のポン酢皿はなみなみにポン酢が入ってるんだけど、ほんっとうに魚の味が上品でせんさいだから、別のお皿をひとつもらってポン酢つけないで汁と一緒に食べてみると全然それでもアホほど美味い なに?????これ フロアが沸いた マジで全員腰抜かしてたまである
そしてすごかったのがフグ以外の具材
めちゃくちゃ綺麗な白菜、これも太くてピッカピカの三つ葉、えのきだけにお豆腐、そして学のないわたしがふてえマロニーちゃんと口走ってしまったのは吉野葛のくずきり!!!初めて本物の葛切り食べたんだけど代用のでんぷん佳とぜんっぜん違うじゃん!!!!!これも気持ちふぐと似てる食感で、弾力はあるけどものすごいもっちもち具合!これと豆腐はポン酢にじゃぶづけしてポン酢の旨味酸味を堪能させてもらいました
フグもそうなんだけど、他の具材もこんなに立派なもの入れてくれて感激したな〜 おじいちゃんが言うには「ほんもののフグに下手な野菜なんてつけられへん」 でも今白菜も高いじゃん てか葉物が高いじゃん ありがとう美味しい野菜用意してくれて
・焼き白子

うおおおおああああああああああああああ
わたしは北海道の人間なので白子と言えばたらの白子を食う民族なんですが、一般的にはフグだよねということで これもまともなの食べたことないから食べてみたくて注文 一人前に二個ついとるからねとのことで二人前頼ませてもらった 人数分頼まなくても全然嫌な顔されないし本当居心地良かった
食べてみると、たち(たらの白子)に比べて圧倒的にフグ味が濃い!!!たちも鮮度のいい立派な真だちは鱈の味が香って美味しいんだけど、相当鮮度管理と掃除が綺麗なとこのじゃないとどうしても微かに生臭さが出ることが多いから、そういう生臭さが一切ないのもすごかった やっぱり形状的に白子は洗いやすそうだけどたちはうねうねしてるし血管抜きにくいもんな〜とは思う あとはクリーミーさ、たちがものすごいクリーミーでとろとろなのに対してフグの白子は濃厚だけどさっぱりした口当たり どちらにもどちらの良さがあるな〜と実感 ていうかマジで白子とひれ酒の相性が良すぎてヤバい クリーミーに寄った口内をさっとアルコールでさっぱりさせてくれるから何回も一口目の美味しさが楽しめる 意味わからん最高
・雑炊

これを食べにきたと言っても過言ではない 本当に楽しみにしていた 雑炊もおじいちゃんが作ってくれて、隣の席に人が来ちゃったから私の席におじいちゃんが座って雑炊を作るのをその後ろに出してもらった椅子に座って眺める謎のプレイが始まってワロタ
作る間おじいちゃんの背中を見ながら酒を飲んでいたため席に戻ると仕上がった雑炊があった 仕上げに上から使ってきたポン酢をチョトかけて食べるんですけど すっごい味がスッキリしてる!!!!!!なんで??!?!!!!ここまできたから雑味みたいなのも流石に出つつ濃〜いフグ味になってんのかなと思ったらむしろ逆で、ご飯の量もかなり多いし昆布出汁も新しいのをしっかりさしてるおかげでめちゃくちゃクリーンなふぐの味になってる!!!!!
上品で、繊細で、でもじんわりずっと旨みが延びる、私が一番好きな日本酒の味のタイプと完全に同じ構成 ため息が出たねほんと 美味くて 昆布とフグだけだよ基本 極限シンプルがここまで綺麗に美味しくなるなんて 首を垂れましたマジで 本当に来て良かった
食べ終わって席でお会計したら一人12,800円くらいで全員「は?安」て声出た
お店が14時からやってんのもめちゃくちゃ助かるしフグにうるさい人がどう言うかは知らんが天然トラフグ食ったことないな〜って人にはマジでおすすめ なぜなら普通天然トラフグを食べようと思ったら2万くらいからスタートだから マジで安いのにこんなに美味しくて心配になった ありがとう 大阪来たら絶対また来るね





















































































