ババアの手打ち文字そば

オモコロさんでやっている文字そば(1000文字くらいのエッセイ)やりたくて

インフルエンザという特別休暇システム

インフルエンザが周りでめっちゃ流行っている。

そんなの毎年のことだし、大体流行る時期もこのくらいだし、何もかもほとんど予定調和である。しかも、インフルエンザという病気は素晴らしいことに予防接種でだいたい防げる。すごい。とんでもなくすごい。ここまで用意周到に、「インフルエンザにかからない」手法が確立しているのだ。

しかし、人はそれでも、インフルエンザにかかる。

猛烈にかかる。今までかかったことがないからという驕りで予防接種をしないで軽率にインフルエンザにかかるし、なんなら予防接種したけど違う型にしこたまやられたりする。去年かかったから今年はいけるやろみたいな謎の自信を木端微塵にされながら高熱を出したり、家庭内で誰かが持ち込んだインフルエンザで家族全員社会的に死んだりする。なんか、ここまでくると実はみんなインフルエンザにかかりたいのでは?という邪推すら生まれる。

でも、多分そうだ。インフルエンザは人々に絶対に穿たれることのない救済の盾なのだ。インフルエンザの威光を盾に、人々はみな、軽率に長めの休みをとっているのだ。インフルエンザー(罹患者)は、学校に会社に、行きたい()。行きたいという気持ちはある()。だが、医者から外出をとめられている。わかってくれ。行きたい。やりかけの仕事や予定してた打ち合わせがごまんとある。行きたい。あ~行きたい!会社行きたい!!!でも行けないんだよねインフルエンザだからさ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

こんな体の良い言い訳も、リモートワークが普及しまくった数年後には別に自宅でデスクワークできるし「もう熱下がったでしょ?テレカン参加して」ってチャットが飛んでくるようになるであろうことを考えると、平成の終わりをしみじみと感じさせるあはれなもののように感じる。

なので、これほどまで大手を振って合法に休めるしその間の仕事がどうしようもなく他の人に割り振られてなし崩し的に処理されていくのが最高なインフルエンザという特別休暇を得るべく、ことしもまた、ウィルスに身を委ねようと思っている(予防接種してない)。